本の概要
「本当のワイセツとは何か」という問いと
それに対する答えから始まり、
- 代々木監督の作品の核になるもの
- セックスで男も女も感じる方法
- オーガズムとは何か
こういったことを中心に長年の現場経験に基づいて語られている。
紹介されているのは決して
表面的なテクニックなどではない。
「今日から試せる」ものでありながら、
セックスとは決して切り離せない精神面、
コミュニケーション方法を中心に
セックスの「神髄」を語った内容になっている。
本の目次
序章 今こそSEXを裸にする
第一章 快楽装置の舞台裏
第二章 SEXで女を失神させる方法
第三章 SEXで男も失神する方法
第四章 <チャネリングSEX>の秘密
対談 [南智子VS代々木忠]女の視点からオーガズムを考える
男たちよーーー単行本版・あとがきにかえて
本能は母性の赤ちゃん 〜その後に私が学んだこと〜
感想文
気になった部分は全部と言っていいくらい。
しかし、その中から今回は
自分のパートナーシップに照らせるところを
中心に感想を述べていきたいと思う。
まず、「作り物ではないAV」があることに驚いた
まず、私は「作り物ではないAV」があることに驚いた。
日活時代(1971年ごろ〜)には
153本の作品をプロデュースしていた著者・代々木忠監督。
監督曰く
ノルマ達成のための商品が求められる中、
それまでの貧しい性体験と、
男の一方的な観念で脚本を書き、映画を作っていた
のだそうだ。
本当のワイセツとは、いったい何なのだろう
「作り物ではない、現実の性そのもの」を、
そして監督が一番のぞいてみたいものを撮り続けたのだ。
しかも、その作品には名のあるAV女優よりも、
学生やOL、主婦といった「ビデオ初出演」という
一般女性たちのほうが圧倒的に多く出演している。
作品には絵コンテもなければ
監督ご自身も何が起きるか予想できない。
このことに、まず私は驚き、
「私がみたかったのってこういう作品!!」
と強烈に興味惹かれた。
そして大いに勇気づけられた。
というのも、私にも
「ネットで検索されることだけを
目標に文章を書いていた」
時期が長くあり、うまくいかなかったから。
不思議と、
- 読者に役立つことをがんばって書く
- 検索エンジンで1位になること
- お金を稼ぐこと
こういうことをいったん横に置き、
自分が大好きなテーマについて
書ける範囲ギリギリまで
切り込んだものの方が読まれる…
という不思議な経験をしてきた。
何より楽しかった。自分が生き生きした。
代々木忠監督の作品スタイルを知り、
「作品を観てみたい!」と
激しく興味そそられるとともに
「自分がしたいことをする」
ということに対して何だか
「好きにやりなよ、どうせならさ」
と背中を押していただいたように
感じてうれしかった。
SEXを本当に楽しみたいのなら、まず自分から裸になること
第二章の『SEXで女を失神させる方法』
のなかで一番心に残っているのは、
あなたがSEXを本当に楽しみたいのなら、
まずあなたから裸になることである。決してエッチな自分を偽らないことだ。
この部分だった。心に響いた。
…というのも、私には下記のような
価値観の変遷があったからだ。
- 性はきたないもの→美しく、楽しく、自由で神聖なもの
- セックスは悪いこと→心や身体、愛する人との関係に良い作用をもたらす素晴らしいもの
実は母が私の恋愛、特にセックスについて
私に行き過ぎた干渉をしてきた。
母は性についてとても
ネガティブなイメージを持っていて、
私の心にも知らず知らず
「セックスはいやらしいこと。
溺れるのはいけないこと」
といった考えが巣食っていた。
- 心身共に底の底から愛し愛されたい、
- 自由にセックスを楽しみたい
ずっとこう思っていたにも関わらず
性にネガティブなイメージを持っていたせいで
恋愛や結婚もうまくいかなかった。
そして、セックスレスがきっかけの一つになり、離婚。
その後、性と色々な角度から向き合い、
自分の性的好奇心を少しずつ解放してきた。
具体的な性のメソッドやマインドも学んできた。
そのおかげで、ずいぶん性に対する
ネガティブな印象はなくなった。
離婚に向けての夫婦別居が始まってから
5年くらいセックスしなかったのだけれど
その後マッチングアプリで知り合った男性と
関係を持ったときの感想は軽やかだった。
「楽し〜い♪」
罪悪感はかけらもなかった。
相手の全身を夢中で愛撫することが
ただただ楽しく、癒された。
以前にセックス中にふと感じることがあった
「私、なんかアホなことしてるなぁ
(自分キモいかも…)」
といった、変に冷めた自分もいなかった。
私と同じように深く癒され、
眠ってしまったお相手を見て、
セックスに没頭できるようになった自分が、
「自分から裸になれるようになってきた」
自分のことが愛おしく、うれしかった。
女性のようだったオーガズム後の彼
また、第三章の『SEXで男も失神する方法』
を読んでいるときには、
私の頭の中にある場面が甦った。
あるときの彼のオーガズム後の姿だった。
失神とまではいかなかったが、
深く癒されるようなイキ方をした後
すぐに眠ってしまい、しばらく起きなかった。
そのときの彼の身体の様子が
今でも忘れられない。
彼は、肉体労働系のお仕事のおかげか
ガッチリして日に焼けた男性らしい体型なのだけど
そのときの、背中を軽く丸めて
横向きになって眠っている彼の身体は、
心身の底から深いオーガズムを迎えた後の
女性のように柔らかい線を描き、
神々しい空気感を醸していた。
思わず「わぁ……美しい」と感嘆してしまった。
そして、その後普通に話している彼の顔は
日頃のストレスなど「精神的な垢」が
すっかり落ち切ったようなキラキラした表情をしていた。
「男性もこういうイキ方をするんだぁ」
という新鮮な驚きを感じた。
だから、この本にある
男のオーガズムは射精ではない
(もっと比べ物にならないほど深いもの)
という言葉には心底納得できる。
もっと自分の心や身体を
明け渡してもらえるような、
感じたままに好きに喘いでもらえるような、
甘えてもらえるような関係を
時間をかけて目指したいなと思った。
私の身体に興味深い変化をもたらした呼吸法
私がもうひとつ注目したのは、最後の
『本能は母性の赤ちゃん〜その後に私が学んだこと〜』
に詳しく書かれていた
「心の傷を溶かし、
最高のSEXを実感するための呼吸法」。
実際にやってみた。
他の、性に関する本などを読んでいても、
呼吸に触れたものは多いし、
Xでフォローさせていただいている
市原克也監督がこの呼吸法のイベントを
されているのを見たことがあって興味があったからだ。
(ただし「信頼できるパートナー」
とやるよう勧められている③の呼吸法は今回は割愛した)
①②④⑤…と手順を追って進むごとに、
徐々に、自分が
「布団の上に大の字になっている」
から
「大地の上に大の字になっている」
に変わった。
④の性器呼吸が一番不思議だった。
これを試したとき月経中だったのだけれど、
経血が通常の2倍くらいの量と速さで流れ出たのだ。
(私は「何も邪魔するものがないかの
ようなスムーズさ」を感じた。
しかし、人によってはもしかしたら
月経中は慎重に行うべきかもしれないと感じた)
⑤までの手順が全て終了した後は、
経血の流れ方は元に戻った。
セックスと直接関わりのある女性器の働きに
変化が起きた点が、大変興味深かった。
そしてもうひとつ、大きな変化があった。
身体の末端まで「気」が
行き渡ったと感じたことだ。
エネルギーを吸い上げた
性器から胸のラインを中心に、
指先や爪先までジンジンと温かい感触がした。
ジンジンしていた部位の中には
おでこの中心や喉も含まれていた。
もしかすると、ヨガで言う
「チャクラ」が反応したのかもしれない。
これは、これまでに試した
他の呼吸法では感じたことがなかった。
末端が冷えやすい冬にも試してみたいと思う。
そして⑤の「自己とつながる」のときには、
自分の中心へとメッセージが降りてきた。
その内容はこうだった。
「もっと己を解放すること。
そうすれば、パートナーも
もっと楽に自己を表現するようになるだろう」
そのときは分からなかったけれど、
今、思い出すと感謝で涙が出てくる。
一番欲しかったアドバイスだったからだ。
このことについては第二章
『SEXで女を失神させる方法』の
退行催眠のことが書かれた部分にも
こんなくだりがあった。
生まれてこのかた私たちは、親なり学校なり
社会なりからありとあらゆる固定概念を
押しつけられている。それはあたかも長い年月を通してかけられた
催眠のようなものだ。退行催眠をはじめとする私の一連の催眠の目的は、
これらのさまざまな呪縛から一回解き放ち、
心を自由にしてあげることにある。心が自由になって
オーガズムを体験した女性はひじょうに多い。
最近、彼との関係が第二段階に入ったと感じていて。
一番最初の段階の「恋は盲目」期を過ぎ、
本当の意味で「向き合う」ときを迎え、
コミュニケーションを苦心しながら試行錯誤中。
そんな私の背中を
優しく押してくれるメッセージだった。
終わりに
この作品を読んだのは、
市原監督(@bingo356)のXのポストがきっかけ。
そこから、代々木忠監督のブログ
「週刊代々木忠」を読んでみたところ、
この作品のことが書かれていて興味を持った。
このような素晴らしい出会いの
きっかけを発信してくださった
市原監督にも感謝を捧げます。
ありがとうございました。
私の代々木沼歴は始まったばかり。
代々木作品は、このブログのテーマ「愛」に
まさにドンピシャな作品に違いない。
どれから観よう、、、、
迷うのもまた楽しみなのだった。
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